作業服に使われる色とその理由

工場や現場仕事などで着用する作業着は、一般的にブルーや紺色が多い傾向にあります。それ以外にもいろいろなカラーのものがありますが、それぞれの色味にはきちんとした理由があるのです。ここでは作業着に多い色の種類とそのメリットや効果などについて紹介します。

自身で作業着を購入するときにも、色味の理由を知っておけば選びやすいでしょう。

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最も多いブルー系

作業着のお店を見てみても、作業着で最も多い色はブルー系です。水色や落ち着いたブルーといったカラーは作業着の定番と言えます。これらはそもそも、その昔に米国などで現場作業員に配布された青いデニム生地の服が始まりとされています。

デニムの作業着はインディゴによって染色されていました。インディゴは虫や蛇を寄せ付けない天然染料として人気があったのです。鉱山で働く人々にとって、虫や蛇の存在は怖い物でした。そこでインディゴで染めたデニムのブルーカラーが、現在でも作業着の定番として普及していると言えます。

ブルー系の作業着のメリットとして、汚れが目立たない点も大きいです。虫などが出ない職場でも、服の汚れが目立たないようにという理由でブルー系を着ている所は多いです。工場などは鉄くずや塗料、油などさまざまな汚れが生じます。

なかなか洗濯しても落ちにくい汚れになりますが、それでもブルー系の作業着であれば汚れている印象が薄いです。作業着は毎日着替えることができるほどには支給されないので、できるだけ汚れが見えにくいカラーを着ることは大切です。

そしてブルー系は特に好き嫌いのない色でもあります。本来青色は気持ちを落ち着かせてくれる色です。心拍数が下がり、精神安定効果があります。集中力が高まるので、機械部品を製造するなど細かい作業をする製造工場にも向いている色と言えるでしょう。

グレーや薄いグリーン

作業着はグレーや薄いグリーンもよく見るカラーです。控えめな色ですが、これらのカラーも汚れは目立ちません。建設現場のスタッフがグレーや薄いグリーンを着ていることが多いです。現場仕事は埃や土、建材などさまざまな汚れが付きます。

それゆえに、控えめなグリーンやグレー系の作業着が向いていると言えます。さらにこれらの色は視覚的な刺激も少ないです。現場では足場を組んだり重い物を運んだりと危険を伴う作業もたくさんあります。何より集中力が途切れると事故につながるため、気が散らない色としてグリーンが良いのです。

汚れにくく気が散ることもない薄いグリーンやグレーは、まさに現場仕事に最適なカラーです。これらのカラーは地味ですが、飽きも来ません。無難に着続けることができる色味としても人気があります。心身のストレスを緩和する効力もあります。

調和が取れる色でもあり、みんなで協力してトラブルなども起こさずに平穏に働くことができる色とも言えます。土木現場などは男の職場であり、気が荒い人が何かしらで怒るとおさまりがつきません。日々イライラを感じることなく平穏無事に仕事ができるためにも、グレーや薄いグリーンといった控えめな色が良いわけです。

ホワイト系

衛生管理が必要な食品工場では、ホワイト系の作業着を着て働きます。白は汚れが目立つからこそ、清潔な状態を保てます。食品を扱う場所はとにかく何より衛生管理が重要です。薬品工場も同様に、ホワイト系の作業着であることが多いでしょう。

大手の自動車メーカーの工場でも、ホワイトの作業着が採用されています。これは医師が人間の命を扱うのと同じように、車製造も人の命を預かる重い仕事だとスタッフに思わせるためだと言われています。それほどまでに責任感をしっかり持って働いて欲しいということです。

精密機器メーカーでも、白の作業着が見られます。埃によって精密機械の部品は不具合を起こします。少しの汚れや埃にも注意するようにと、汚れやすいホワイト系の作業着が支給されているのです。白を着ることで、スタッフの美への意識を高めることができます。

赤やオレンジなど派手な色

赤やオレンジの作業着は、とにかくインパクトがあって目立ちます。あえてスタッフの存在を目立たせたい現場では、こうしたよく見えるカラーの作業着が適切です。企業の存在をアピールできるだけでなく、注意喚起を促したり危険を感知させたりする効果があります。

赤やオレンジというと、消防士やロードサービスの隊員、救急隊員といった職種をイメージするのではないでしょうか。24時間働く仕事でもあり、夜間でも目立つ色として赤やオレンジが選ばれたのもひとつです。参考|ユニフォームタウン ... 作業服

暗い中でも作業スタッフの存在はよく見えます。救助隊の人が派手な色を着ているのは、山で遭難した人などが救助隊の姿を見つけやすいようにという目的もあります。赤系の作業着は現場に活気を出すこともできるでしょう。

職業と色の関係性

職業や職種によって、作業着のカラーに意味があることも多いです。警備員の制服は紺色が多いですし、救急隊員や消防士はオレンジ系です。警備の人や警察官は、市民を守らなければなりません。信用されなければ仕事になりませんし、誠実さが重要になってきます。

信頼や誠実をアピールするカラーは紺色のネイビーカラーです。それゆえに警察官や警備員は紺色の作業着を着ています。そして救急隊員に関しては、安全性を確保してどこにいても目立つ必要があります。オレンジの派手な色を着ているのはそういった理由からです。

同様に林業関連の職業の人もオレンジ色の作業着です。オレンジに似てインパクトのある派手な赤色は、ガソリンスタンドのスタッフが着用しています。ガソリンスタンドは危険物を扱う場所であり、そこで働くにあたっては緊張感がなければいけません。

また遠くからもよく見えるなどの理由もあり、赤色の作業着を着ています。イベントスタッフなども同じく赤色の服が多いでしょう。清掃や道路工事スタッフは、グリーン系を着ている人が目立ちます。これはドライバーの視界の妨げにならないよう配慮でもあります。

グリーン系は目に優しい色であり、ドライバーは道路工事スタッフに気が散ることなく運転ができます。とは言え工事スタッフの存在はよく見えなくては危ないです。時には赤色のインパクトのある作業着を着ている場合もあるでしょう。

そのほか、高級感を与える必要がある仕事においてはブラックの作業着を着ているところがあります。伝統的な高級商品を作っている大工や職人は、ブラックの作業着です。このように、皆それぞれ着ている色には意味があるのです。

仕事に合う色の作業着を

作業着の色と仕事内容には、大きな関連があることが分かりました。色味には汚れの目立ちやすさや危険を感知するなど、さまざまな効果もあります。色味の理由を知ることで、その仕事に何が大切なのかを改めて考えることができるでしょう。

自身で作業着を選ぶときには、その仕事に合うカラーを選択することが大切と言えます。